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【インタビュー|vol.11】茂出木桜子さん


茂出木桜子(俳優)

1980 年名古屋生まれ。名古屋小劇場での俳優活動を 経て、2006 年よりニナガワスタジオに所属。以後、蜷川 幸雄演出作品を中心に出演。現在は、さいたまネクスト シアターに所属。主な出演作に、演劇『warter wich ~ 漂 流 姉 妹 都市~』(第 4 回AAF戯曲賞受賞記念作)、 『血は立ったまま眠っている』・『わたしを離さないで』 (蜷川幸雄演出)、映画『十三人の刺客』など。

 

——お芝居を始めたきっかけは?

中学校の演劇部かな。入学式で部活勧誘のチラシを配っていた先輩たちが着ぐるみを着て楽しそうだったので、面白そうな部活だなと思って。もともと人前で何かをやるのは好きだったみたいです。親から聞いた話ですが、幼稚園の頃、みんながお弁当を食べている前で歌ったり踊ったりしていたみたいで。小学校の卒業文集には「吉本新喜劇に出たい」って書いていたし、そういう素養があったんでしょうね。

——中学時代の演劇での思い出はありますか?

大道具作りとか、いろいろ全部みんなでやっていました。女子校だったので、力仕事もなぐり持ってやるのも全部。中高一貫校なので、その流れで高校も演劇部でした。 ——大学でも演劇を? 大学では、演劇部はやめようと思っていたんですよ。戦隊ヒーロー物が好きで、キャラクターショーのバイトをしたいと思っていたんです。高校卒業してすぐにNACに入り、白川公園で練習をして、土日はデパートの屋上とかでショーをやっていました。そっちが楽しくて、他のサークルにも興味がなかったんですけど、結局大学でも演劇部に入りました。そこで役者だけではなく脚本や演出もやっていました。 大学時代はお芝居に夢中になりすぎて、名古屋の小劇場にも出るようになっていて。それが楽しくて就活の機会を逃したんです。私は「就職せずに芝居をやるんだ」という一大決心をしていないんですよ。なんとなく伸ばし伸ばしにしていたら大学を卒業していて。それがコンプレックスだった時期もありました。五年くらい前にお芝居をやめようかと思ったことがあって。その時は真剣に考えて、やめないと決意したから今があります。

——東京へ行くことになったきっかけは?

いつまでこういうことを続けているのかと親に言われて、なんとなくやめたほうがいいのかなと思っていたんです。その矢先に、蜷川スタジオのオーディションのチラシをもらって。その内容が、演じているのを蜷川さんに直接見てもらえるというものでした。やめるなら、最後に世界の蜷川に見てもらおうと思ったんです。オーディションは吹雪の日で、終わった後に出待ちをして。蜷川さんが出てきたから感想もらえませんかって言ったら、「へんてこりんな衣装(白い羊の着ぐるみ)着んじゃねえ馬鹿野郎!」って言われて、それがすごく嬉しかったんです。記念になったって感じで名古屋に帰ったら、ある日突然合格通知が来て。親も、蜷川さんの所なら行ったほうがいいって言ってくれて。それから蜷川組として今に至ります。

——お芝居をする上で気をつけていることはありますか?

本番中に気をつけていることではなくて、蜷川さんに言われすぎて気になっちゃうことがあって。(蜷川さんが)語尾をあげることや変なところで助詞を強く言うことを嫌うんですよ。語尾でいうと「〜〜でぇ」とか「〜〜ですけどぉ」とか。語尾をあげるとすぐ叱られるんですよ。あとは、たとえば「プロデュース公演として」だと、プロデュース公演を強調したい時に「として」を強調する時とかあるじゃないですか。若い俳優さんにすごく多くて、テレビ見てるとそれが気になって内容に集中できなくなる時があります。 蜷川さんはよっぽどのことがない限り台本を一字一句変えない人でした。劇作家がどれだけ苦労して悩んで書いているかを知っているから。どうしても尺が長いという時は、作家に相談していました。だから、自分が俳優をやるときもセリフを変えないように気をつけています。変えてもいいと言われても、なるべく変えないようにしますね。セリフを自分に寄せるのって結構簡単だと思うんです。だけど、自分にとっては不自然なものを自然だと思う人間もいるのかもしれない。「こういう言い方をするのが自然な人」を考えるのは面白いと思います。自分とは違う人を作り上げる作業が役者として楽しいところじゃないのって思う。

——今後の夢や目標はありますか?

主役のことはみんなが考えてくれますよね。でも、通行人の役だと、それがどういう人物なのかは自分で考えないと誰もやってくれない。蜷川さんは、一瞬出てきて帰っていく人も端々まで見てくれるけど、もういないから。だから、通行人の役でも自分でしっかり役作りできる人になりたい。それが役者やってる楽しみだと思うので。

——今後の活動について教えてください。

10月21〜23日に愛知県芸術劇場小ホールで『それからの街』に出演します。団地で暮らしている女性三人とバイト先の友達による日常の小さな変化のお話です。そしてもう一つ、演劇とは何かという根本的な問いをテーマにしています。

——ありがとうございました。

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