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【インタビュー|vol.6】秋葉由麻さん

秋葉由麻(俳優)

千葉県出身

都立代々木高等学校(三部制)入学時より演劇を始め、三年連続で定時制通信制課程芸術祭の最優秀賞受賞。

愛知トリエンナーレ2010を機に名古屋へ住まいを移す。

2012年利賀演劇人コンクールにて奨励賞受賞

 

―演劇を初めてどのくらいですか?

きっかけは高校時代に演劇部に所属していて、卒業してからも演劇のこともっとやりたいなと思って続けている感じなので…15~16年くらいですかね。

部活自体は全く盛んではなくて…高校演劇というと、先輩方とか先生方とかが熱心に指導してくださって…みたいなイメージだと思うんですけど、うちは全然そんなことなくて、結構外部のワークショップを受けに行ったりしてたんです。だから、高校当時からスタニスラフスキー・システムとか、殺陣のワークショップとかを受けに行ってました。部活内では情報がすごく少なくて、みんなでどうしようねーって言ってて。そうすると、部活あてにワークショップとかの案内が届くんですよ。その案内を頼りに、学びに行ってました。当時は西田シャトナーさんの惑星ピスタチオがに全盛期で、その招待状も部活宛に届くんですよ。それでよく観劇にも行ってました。

―なぜたくさんある部活の中から演劇を選んだんですか?

私は演劇部と漫画部の掛け持ちで、生徒会もやってたんです。私がいた学校では活発な人は掛け持つ、みたいな感じで…だから、おそらく活発なほうだったんですよね(笑)

当時、演劇には興味がありました。もともと物を作ることが好きで、絵を描く、編み物をするとか…ただ、演劇をする機会は子供のころからなくて、高校に入ったら演劇部があって、やったことないからやってみようと思って入部したんです。

―そのころから舞台役者としてやっていきたい気持ちがあったんですか?

たぶん、自己表現の手段として…例えば絵を描いたり、歌を歌ったり、いろいろな方法がある中で、演劇があったという感じかな。

私はすごく人見知りなんです。でも、オーディションとかに行くと、初対面の人とペアを組んでテキストを読んだりすることがあるじゃないですか。そうすると、例えば恋人役でとなったら初対面の人だったとしても恋人のように振舞うわけじゃないですか。そういう感じが面白いなと思って。演劇という前提があれば、そういう心持ちで人と接することができるから。

―知らない人とコミュニケーションをとるためのツールにもなるところでしょうか。面白い捉え方ですね。

あと、すごく人間に興味があったんです。他の人が何を考えてるかなんてわからないでしょ?たぶん死ぬまでわからないけど、それでもみんなと一緒に楽しく過ごしていかなきゃいけないじゃない?そのために、演劇はとても大きな役割を担っていると思う。

演劇にかかわらず、アーティストは世界を作ることが仕事だから、演劇は面白いなって思ってます。

―今までの俳優人生で影響を受けた出来事はありますか?

私には平田オリザさんとの出会いは大きかったです。24歳のころオリザさんと一緒にお仕事をさせていただいて、その頃私はまだ演劇をよくわかっていない駆け出しで、当時からオリザさんはテレビの中で見るような、ちょっと雲の上の存在みたいな感じの人でした。そういう方と一緒に作品を作るという経験は俳優と演出家という立場としても、すごく大きな影響がありました。

―平田オリザさんと一緒に作品を作りあげていく過程の中で実感したところが大きかったですか?

 もちろんそれもそうですし、でも一番大きかったのはオリザさんの人柄・人間性でした。例えば、サッカー選手にあこがれている子供たちが実際にその第一線で活躍されているサッカー選手と何か一緒にすると、絶対感動するし、意欲的になると思うんです。そういう感じです。ほんとに尊敬する人と何かするって、普通にやっているのとは全然違う。一緒にやるだけで、自分の希望や可能性が芽生える。そういう経験をさせていただけて、それが今の私の俳優感につながっているのかな、と思います。

―普段演技をする上で気を付けていることは?

私は心を動かすことが大事だと今は思っています。ある映画で、この俳優さんの演技は何でこんなに人の心を動かすんだろうって考えていた時に、これは私の心の中がまず動いているんじゃなくて、この俳優さんの心の中がまず動いてるんだ、って思ったんです。

人を感動させたいという気持ちってあると思うんですけど、人の心を動かす前にまず自分の心を動かさないと、影響を与えることはできないんじゃないかなって。

―そのために具体的にやっていることって何かありますか?

 まず受け入れることが大事だという気がします。例えば、俳優は観客に与えるだけではなくて、俳優と観客の間でも受け入れたりもらったりが成り立っていると思うんです。なので、俳優にも与えることと受け入れること両方が必要だと思っています。俳優は舞台に立った本番中でもお客様のこと見てますし、もちろんお客様は私たち俳優のことを見てますし…そのやり取りが必ずあると思うんです。「意識の流れ」というか、そこに会話がなくても感じる力っていうのは、生きてる人はみんな持ってるもので、言葉だけではないもので成り立ってるのかなと。

―お客さんから受け取ることは、演劇の役者には大事だなと思います。秋葉さんが俳優として舞台に立つ上で気をつけていることはありますか?

 これはロシアの演出家の言葉だったと思うんですけど、俳優に求めることは何ですか?っていう質問に対して「イメージを持つこと」って答えていたのが印象に残っていて…。確かに、しゃべることもイメージを伝えるためにしている動作だと思うので、イメージを持つことは俳優にとって大切な要素だと思ったんです。俳優同士が別のイメージを持っているとしても、それがお互いに影響を受けると別のイメージになったり、お客様それぞれが持っているイメージとぶつかったりして、個々の俳優やお客様一人一人の中でいろいろ起こっていくことがあるんじゃないのかなと思っていて。そういうことをできるようにと気をつけています。

―憧れの俳優さんはいらっしゃいますか?

 憧れというよりは、すごいなって思った方はいて…ある女優さんと共演したときに、本番中、その女優さんは自分のシーンが終わって楽屋に戻ってきてたんです。そのあと、私も楽屋に戻ったら、そこで、その隙間の時間を使ってその女優さんが妹さんと電話してて…!しばらくして、「お姉ちゃんそろそろ出番だから切るね」って言って電話を切って、そのまま舞台に出て行ったんです。本番中ですよ!それを見てすごく衝撃を受けちゃったんです。もちろんその後舞台上ではしっかり演技されてて、お客さんには合間に電話をしてたなんて感じさせなくて…。その女優さんは天才肌というか才能があるというか、他にもそういうところがあって…。私は本番中結構ナーバスになっちゃうから、たとえ自分がどんなに経験を積んだとしても、たぶんそれはできない!スイッチがしっかり切り替わるというか、台詞覚えもすごい早いし。ほんとにすごいなあと思います。だからいまだにすごく覚えてます。

-秋葉さん自身が「こうなりたい」と思うビジョンはありますか?

 現状では「台詞をしゃべること」が俳優の大きな役割としてやっているんだけど、本当に感情が高まった時って言葉が出てこないはずで、その言葉が足枷になってるように感じていて…。台本のセリフはしゃべることが前提じゃないですか。今はそれを、言葉ではないもので表現できたらいいな、ということに興味があります。それがどういうものなのかはまだわからないんですけど…。障がいがある人にも演劇は存在しているから、その人たちにとって演劇を楽しむってどういうことなのかいうことにすごく興味があるんです。言葉だけだと、聴覚があって言葉が聞き取れないと達成できないんだけれど、じゃあそれがない場合の演劇って何だろう、みたいな…聞こえなくても、見えなくても、しゃべれなくても、できる演劇があると思っていて。その人たちにも持っている「イメージ」があって、それを共有しあえば演劇は成立するはずだから…その方法はまだ見えていないけれど、すごく興味があります。

―今後の活動予定はありますか?

はい!北村想さんが昔書かれた戯曲の「ザ・シェルター」を、加藤智宏さんの演出で上演します。会場は円頓寺Les Piliersで、4月15日(土)から24日(月)までやってます。

19日の休演日以外は毎日やってるのでぜひ観に来ていただきたいです。各回24席限定です!暖かい家族の形を感じられる作品です!

―それはぜひ観に伺いたいです。本日は沢山の素敵なお話をお聞かせいただきありがとうございました!

[秋葉由麻 出演情報] 中原中也 詩の朗読とピアノ http://pianononeiro.com/promotional_video.html perky pat presents 12 ザ・シェルター 作:北村想 演出:加藤智宏 4月15日土曜~4月24日月曜日 (15日は15時の回のみ、19日(水)は休演日、平日19時半~、土日14時/19時の2回公演) 一般前売2500円 場所:円頓寺レピリエ

第七劇場ツアー2017「人形の家」

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