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【インタビュー|vol.7】岡本理沙さん

岡本理沙(俳優)

2012年「星の女子さん」入団。 以降、すべての公演に出演し、名実ともに星の女子さんの看板女優となる。 刈馬演劇設計社への客演多数。第2回俳優A賞受賞。

 

SPiNインタビュー vol.7 岡本理沙さん(星の女子さん)

―お芝居を始めたきっかけは何でしたか?

もともと美術が好きだったので、初めは舞台美術に興味がありました。それで手伝わせてくれる場所を探していて、劇団あおきりみかんの松井真人さんが当時やってた「少年ライブラリィ」という企画で、ちょっとお手伝いさせていただきました。ちょっと興味があるというくらいだったんですけど、とにかく舞台美術やってる人たちのことを見てみたくて。その企画では舞台美術手伝ったりとか、小道具探しに行ったりとか、雑務一般のお手伝いといった感じでした。

―舞台美術の手伝いからどうして表舞台に?

最初は表に立つのが嫌だったんです。裏方の方がかっこいいなと思ってましたし。私が表に出るなんて、ちょっと恥知らずだなって思うくらいで。最初に舞台に立ったのは、はせひろいちさんがやっていた戯曲セミナーの発表会の出演でした。その時は劇王で刈馬カオスさんの作品のお手伝いをしていたのですが、劇王の打ち上げにいる時に、ちょっと出てみない?みたいな、気楽な感じでお誘いを受けて、出演しました。

(それまで裏方でやってきたけど)俳優のことも、見ていてちょっと興味が湧いてきちゃって。お誘いを受けると、とりあえずやりますって言っちゃいますし。そのあと二、三年は年一回とか、出たり出なかったりとかで。その後刈馬カオスさんのワークショップ形式の発表公演に参加したり、10ヶ月で舞台を作るワークショップに参加したり、そういう機会でちょこちょこ立って。役者というよりは「舞台に立ったことある人」みたいな感覚でした。継続して舞台に立つつもりもなく、なんとなく機会があれば立つみたいな感じでした。

―俳優としてのターニングポイントは何でしたか?

何度か舞台に立っていく途中で、刈馬さんの作品に出たいってなっちゃったんです。役者として少しちゃんとやろうかなと思ったのはそこがきっかけでした。でもその時に自分が使い物にならなくて。それを拾ってくれたのが星の女子さんの渡山博崇さんで、客演で一回出て、劇団員に誘われて、星の女子さんに入団しました。

―今のところ全部のお誘いにイエスで答えてここまで来てますけど

自分から役者をやるぞっていうモチベーションがあまり持てないんです。役者は人前に立つのが怖いじゃないですか。人に言われて(舞台に)立ってるとか、誘われたからとかの理由があるとちょっと言い訳できるじゃないじゃないですか。それがなんとなく性に合ってるのかも知れません。他人のセリフだし、他人の作品だし。自分で発信していくのと違ってワンクッションあるじゃないですか。自分の中に他人の言葉を一旦入れてから出す、みたいな。自分以外の要素が絶対入ってくるから、だからできるのかな、という気がします。自分で全部は嫌ですね。なので一番やりたくないのは書くことですね。作家はすごいなーって思います。

どこかに他人がいるなら頑張れる。

―演じている時に大切にしていることは何ですか?

なるべくフラットな状態でいたいと思っています。あまりガードしないようにしたいな、という。見せてやるぜ!っていうのもあんまりないつもりなんですけど。結果はともかく。すうっとそこに立ってたいなって思います。

最初に「立ってて」っていうところから始まったからですかね。舞台に立っている姿じゃないですけど、そこにちゃんと立ってるっていうことができるようにしたいなといつも思っています。なんかね、浮いてくるんですよね、ふわふわ。緊張したりすると、浮き足立つっていうじゃないですか。その場にしっくりこない状態は嫌だなぁと思います。ちゃんと舞台に立ってる状態でいたいなぁと思う。

―その場に立つ、ということですか

「いる」って感覚になれると楽しいですね。何かをやるとか、するとかじゃなくて、いるという感覚。人がいると安心するじゃないですか。ストンと、座りがいいじゃないですけど、そこの舞台ですっと「あ、私ここにいるな」っていう感覚。この舞台の空間の中に、この世界の中に、いる。なる状態っていうのは意識してるかも知れません。それが外れてくと、弾き飛ばされるような感じというか、いるのにいないような、居心地が悪いような感じがします。そういう感覚が保てている舞台を見るのも好きですし。俳優が何となく「いる」っていうのが最初にあるのがいいな、と思っています。

―岡本さんはあまり激しく動く俳優さんというイメージではないですね

あんまり私が動的な人間じゃないんだとも思うんですけどね。今までもあまり演じたことがなかったけど。やってみたいなとも思っていますけど、動く方が未だにちょっと苦手かも知れません。舞台に立つ時は、舞台にいるという状態になれるといいなって立っているつもりです。たとえ動く芝居でも。

でも最近は動きたいなと思ってるんです。動いてる人たちって楽しそうなので。私は踊ったりとかもあんまりしないですし。去年てんぷくプロさんに出演した時は踊りましたし、動きましたよ。動いてって言われたから。

―演出さんに言われて、という動機の方が大きいんですね

人に言われてやってみるとかの方が、自分の感性じゃないものになっていくので、その方が私は楽しいんですよね。自分が世界を出したいんだ、とか、自分はこう言うところ見て欲しいんだ、というよりは、言われて「私それに似合うます?」と言いながら演じている方が楽しい。でもお客さんは裏切りたいですね。積極的にお客さんのイメージを壊したいわけではないですけど、それをよしとするわけじゃない。こう言う風に見られたい、とかはあんまりないですね。「岡本理沙出てた?」と思われるくらいでもいい。役の方が先に立てるような感じの方が嬉しいかな。岡本さんがどうこうというより、例えば星の女子さんのムーって役が良かったです、とか、言ってもらえると嬉しい。そうありたいなと思います。

―自分の理想的な俳優像は?

好きな芸能人は、宮沢りえさんとか、小泉今日子さんとか。目指してるわけじゃないけど、好きな人はたくさんいます。憧れてるのは、マアムとジプシーの青柳さんとか。あとナイロン100℃の峯村リエさん。かわいいですし。ナイロンの役者さんはすごく好きで、緒川たまきさんも最近はすごく好きですね。押し付けがましくない雰囲気が好き。

―名古屋の小劇場の女優さんで好きな人はいますか?

手前味噌で申し訳ないんですけど、劇団員の鈴木亜由子は私めちゃ可愛いと思ってます。最初に会った時に黒髪ロングだったんだけど、その時「うわ!美少女いる!」って思って。すぐさま連絡先交換しに行って、うちの劇団出ない?と。最初に声かけたのは私です。捕まえてきちゃった。

でも可愛い子は多いですよね、お芝居やってる子は。顔だけじゃなく雰囲気とかが可愛い。舞台立ってる時可愛いなって思う子がいいですね。普段の様子はあんまり興味ないですね。普段ちょっと野暮ったいくらいの子の方が意外と可愛かったりするから、たまんないなーって思います。

最近可愛いなって思った子は、星の女子さんの『トゥルムホッホ』って作品に出てくれた北川遥夏ちゃんですね。可愛くてたまらない。背がちっちゃい大学生の子で。あんまり役者やってなくて、うちに出たのが久しぶり、っていう子だったんですけど。素直な子は可愛いなと思います。

―可愛いと思うのは、その女優さんが自分とは違うと思うからでしょうか?

自分から遠かろうが近かろうが、美しさは正義。(個人的な)趣味だと思います。本当に綺麗な子でも趣味じゃないと思うこともあれば、この子がもうちょっとだけダサい格好してれば超タイプ!と思うこともあります。

芝居がうまいと可愛く見えるってところもありますね。芝居の印象で覚えていたりするので。私は俳優さんと舞台の外であったりすると気づかなかったりするんです。可愛い役とかではなく、芝居がいい時って本人がすごく可愛く見えるから、そういう印象もありますね。

―女優や裏方として様々な舞台を経験してきた岡本さんですが、今後出てみたい舞台はありますか?

欲求自体はあります!ただ、それで売れたいとかはよくわからなくて。でも結果的に、ちょっと目立ててたり売れてたりする方が(お誘いの)声がかかる確率は上がるだろうなということに最近気がつきました。

でも縁だな、と思っていて。去年大きかったのが、天野天街さんに演出してもらった一人芝居でして。俳優A賞もいただきましたし。私はもともと天野さんの作品が好きで、すごく少年王者舘でたいなぁと思っていたんですけど、なかなか自分の方のスケジュールもあったりしてタイミングがなかなかなかったんです。けれども、あの作品が七ツ寺プロデュースの作品で、それまで星の女子さんや他の芝居で七ツ寺共同スタジオで立つ機会があったので、それで声をかけてもらったっていう経緯があったから、そういうことを思うと、縁だなぁと思います。天野さんの作品に去年出られたのが、私の中では、今まで何度かあった転機の中でも大きかったかなぁと思います。

―天野天街さんの演出の中で印象的だったことはありますか?

まず覚えるところから始まりました。50分くらい一人で話すお芝居だったんですが、初日にまず読んだんです。で、覚えられる?と聞かれて、来たぞ、と。ちょっと予想してたんだけどね。覚えられる?覚えたほうが面白いよね?と言われて、覚えられます、と答えたら、覚えたら演出つけるからまずは丸暗記して、と言われて、1ヶ月ちょっとで覚えて、それから天野さんから演出つけてもらい始めて、という感じでした。でも天野さんの中ではシンプルな方だと思います。舞台美術も椅子だけでしたし。七ツ寺で素舞台で、私が本持って出てきて、最初読んだら(本を)閉じて、そこから話し始める、という。

天野さんが言っていて面白かったのが、私に小説をまず入れて、それを観客だったり天野さんが読む、朗読する、ということでした。私、今読まれてるんだと思って。その不思議な感覚を、私は何も聞かされずに、ただ演じていれば良いと。素材だと。だから私にはわかってないけど、(天野さんには)そういう風に見えていることとか、私がやったことに対して(天野さんに)拾ってもらったりしたことを、(稽古の)その場で作っていったりとか。それを何日か私が一人で稽古して、天野さんが(稽古場に)来て、見せて、詰めていくって感じだったから、ちょっと特殊だったかも。最初の半ページくらいを半日ずっと天野さんと二人でやっていて、このペースで行くの?って一瞬思ったこともあって、最初の半ページだけすごく細かく、ちょっとした動きにも演出がついて、うわぁこのレベルでやっていくんだって思っていました。かと思ったらそこからほったらかし期間というか、じゃあ他のとこつけて、と進んで行くんです。でも最初の半ページがあるから、その後自分でやっても、どこまで神経行き届かればいいかみたいなのは入っていました。結局最初の半日は声が枯れ始めて稽古が終わってしまいました。ちょっと限界かもって。呂律が回らなくなってきて、初めて舌が筋肉痛になりました。

―今後のお芝居の予定はありますか?

7月以降に出演の予定はあるんですけど、情報公開が追々になってしまうので…。今確定してるのが、10月の下旬に所属している星の女子さんの本公演で「憧れのハワイ航路(仮)」という作品をナビロフトで上演するのが決まっています。ハワイに行きたい人たちの話、と今のところ聞いております。ウクレレをみんなで弾くところまでは決まっています。みんな一生懸命練習をしてるっていう作品らしいから、プロの役ではないらしいので。等身大の人たちですね。今から練習しながら、楽しくやっていけたらなと。前回公演の予告編では「ハワイはまだ来ないのか、まだ来ないのか」って短編をやったので、ふんわりそういう話だと思っていただければ。ハワイア〜ン!って呼ぶと来てくれる、みたいな。まだ予告なので。乞うご期待ということで。

―俳優A賞も受賞され、素敵な女優さんとしてどんどんこれからも活躍していただけたらと思います。ありがとうございました

岡本理沙さんが所属する『星の女子さん』のHPはこちらから!

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