【インタビュー｜vol.9】金原祐三子さん
金原祐三子（俳優）
プロジェクト・ナビ解散時、これからも北村想作品を続けたいと劇団avecビーズを立ち上げる。外部劇団、プロデュース公演などにもボチボチ参加。劇中に楽器演奏が組み込まれるようになり、クラリネット習得中。
——演劇を始めたルーツは？
中学校くらいの時から演劇にすごく憧れていたみたいで、中学の文集で将来について「保母になって、夜、劇団活動をしたい」って演劇をやったこともないのにそんなことを書いていました。それくらいだったらやれるんじゃないかと思っていたみたいで。今は劇団活動をやりながら昼間はヘルパーをやっているので、夢が叶っているなと。手の届く範囲の夢を子供の頃から書いていたんだなって思ってます。実際に始めたのは大学のサークルからです。その頃は日本福祉大学が杁中にあって、そこの夜間過程に入り演劇サークルに入りました。昼に働きながら、夜は大学に行って、演劇サークルに入りながらも劇団名芸という平針にある劇団に研究生として入っていました。
——多忙ですね。
大学も仕事も1年で辞めて。最初に入った仕事は事務員なんですが、「私は福祉的な仕事がしたかったんだ」と思い、学童保育の仕事に就いて、そこで働きながら劇団名芸で（役者を）やって。それを2年ぐらい続けてからやっぱり大学に行きたいと思いました。当時は愛知県立大学が瑞穂のあたりにあり、夜間過程があったので、そこの保育士資格がとれるところに入りなおしました。 劇団は辞めようかなと思って受験勉強をしていた頃に、「ケプラー40-0」という齋藤敏明さんが主催していた劇団に入っていて、そこでの先生役を見に来た北村想さんが『想稿・銀河鉄道の夜』の先生役で出ないかと声をかけてくれたのが想さんとの出会いです。18歳から22歳くらいの間に今の人生が決まったような気がしますね。いろいろなことをやって拾い上げたというか。
——『想稿・銀河鉄道の夜』の公演で、一番印象に残ってることは？
幸せなことに、ジョバンニ役の客演が「劇団青い鳥」の芹川藍さんだったんですね。芹川さんに「生き方全部がお芝居の中に出ちゃうんだよ。お芝居ってそういうものなんだよ」ということを言ってもらえる環境にいて、芹川さんのお芝居に対する姿勢を見ることができました。 ——俳優をやっている中で一番楽しい瞬間は何かありますか？
いつも苦しいですね。若い時がキラキラしていたなと懐かしく思ったりするんですが、そんな時期は数年しかなくて。途中からは、とても苦しく演劇をやっているところがあります。「いつでもやめられるのに、なんで続けてるのかな？ 想さんと出会っちゃったからかな？」というところはありますね。
——それだけ北村想さんは魅力的な方なんですね
面白いですね。課題を与えてくれるので。いつも台本を読む時に、（内容が）難しすぎて「誰がやるんだろうこの本」って思うんです。うちは稽古がすごく長いんですね、3ヶ月半くらい。セリフを覚えた後、そのセリフに納得できるまでにすごく時間がかかって。役者がセリフを納得して出さないとお客さんもわからないだろうなって思っていて。それだけ稽古してるのに、結局「そうか、ここが面白いのか」ってわかるのは、お客さんの反応なんです。観ているお客さんの雰囲気で「こういうことか」って思うことが毎回あるので、それが面白くてやっています。やっぱり「お客さんの力」がすごいなって思いますね。それは、想さんの書いたお芝居に限らず、どのお芝居でもそう感じます。
——俳優として、大事にしていることはなんですか
セリフをちゃんと覚えようとか、稽古を休まないようにしようって思いますね。他の人の稽古をちゃんと見ようとか。作り始めって、うまくいかないところがいっぱいあるじゃないですか。そういうところを見ています。あたりまえのことを言ってますけど。劇団のみんなと一緒に考えていますね。どうしてうまくいかないのかなって。
——俳優としてこうなりたいという夢や目標はありますか？
いつまでも演劇がやれる環境を作っていたいなというのが夢ですね。それが、いかに難しいことかと思うので。先輩の女優さんでずっとやられている方や、復活されて活躍されている方を見ると憧れますし、尊敬します。勇気がもらえますね。田中幸子さんという「ひと組」に出ていらっしゃった女優さんがいたんですけど、本当に憧れの女優さんです。ずっと演劇で生きていけたらいいなと思います。
——今後の予定は？
来年2月に「avecビーズ」の公演を行います。損保ジャパン日本興亜人形劇場ひまわりホールで北村想の新作をやります。小さな港近くの、お酒を飲みながら楽しめる芝居小屋の楽屋のお話です。ぜひ観に来てください。
——これからも素敵な姿を拝見させてください！ありがとうございました。
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